花が亡くなる前から、『花死んだら1日ペットロス休暇もらうから!!』とスタッフに宣言していた通り、翌日月曜日を急遽臨時休診とすることにしました。
臨時休診を1日いただくということは、その分患者さんの治療希望に応えられないということであり、
その点を考えると大変後ろめたさはありましたが、もしもスタッフの犬猫が亡くなった場合にもペットロス休暇を取得させてあげたいと思っていたので(あまりに多頭飼いだと、全て与えられるとは限りませんが・・・^^;)、院長がまず率先してペットロス休暇を取ってみる試みをしてみようと考えたのです。
花が亡くなったその日の午後は通常通り診療をこなし、その合間で火葬屋さんに連絡を入れ、翌日の日程で火葬の手配を行いました。
火葬場は、家族全員が行ける夕方(子供たちが学校から帰宅してから行ける時間)でお願いをしました。
我が子たちは、命の終わりを見届けて火葬に立ち会うという機会は初めてだったので、どのような心情になるのか、焼かれて骨になった花を見てどう受け止めるのか未知だったため、親として多少の心配はありましたが、
“一つの命と向き合い、共に生きていくということがどういうことなのか”をしっかりと感じて欲しかったので、同行させることにしました。
その日の夜、ベビーモニターで残された2匹の猫たちの様子を見ていましたら、スンミはあっけらかんとしていて普段通り・・・
一方、花の息子であるシハルは、花の傍でメソメソしてる様子が見られました。
実際に涙を流していたわけではありませんでしたが、悲しみ溢れ出る表情をしていました。
シハルに関しては、花が亡くなる前前日までは寄り添って寝たりもしていたのですが(しかも具合の悪い母親を敷物にするかのように)、前日から離れて寝るようになっていたので、亡くなる前から彼なりに何かを感じ取っていたはずですが、
彼の中でも大きな出来事になったという事実を目の当たりにし、我々の悲しみをより深くさせました。
臨時休診とした1日は、朝から火葬までの時間が来るまで、花のいた部屋を隅々清掃することにしました。
具合の悪い花の周りであれこれ片付けもできなかったですし、猫たちがずっと使っていたソファは、爪研ぎによってボロボロな酷い有様だったため、花の旅立ちを機にそれも撤去することとしました。(本当に大掃除です。)
この1日で『花のいない生活』へ向けて、気持ちも環境も整えなければなりません。
朝子供達を学校や幼稚園に送り出し、とりあえず病院に向かいます。
出社すると、スタッフがお花や送り出し用の猫おやつをプレゼントしてくれました。
お花屋さんに行く時間が取れなかったからと、自宅で育てていたお花をご両親と束にしてラッピングしてくれたスタッフ、休憩時間に抜け出してお花屋さんで用意してくれたスタッフ、、
我々だけでなくスタッフとも触れ合いのあった花でしたので、花もとても喜んでいたと思います。
また、送信された臨時休診のLINE案内を見て、LINE管理会社さんのスタッフさんが配送でお花を送ってきてくださったり、
無添加おやつのワンモアさんや当院でお世話になっている業者さんも直接お花を持ってきてくださったり、皆さんの優しさに涙が止まらない1日でした。
ご来院された患者様からも多数お花やお心遣いをいただきました。
たくさんのお花に囲まれて眠る花の横で部屋の片付けをしながら、今までの花との思い出話をすると、涙がホロリホロリとつたってきます。
(※いただいたお心遣いはアップしているもの以外にも多数あります。)
お花の香り漂う中掃除をしたり、院外での用事を済ませたり慌ただしく1日を過ごしていましたら、あっという間に夕方になり、、危うく火葬の予定時間に間に合わないほどの時間になってしまい、出棺時は余韻に浸る暇もなく火葬場の方へ向かうことになりました。(この余裕のなさが我々らしいような・・ある意味、いつも通りの私たちの状態で花を送り出すことになりました^^;)
火葬場へつき、花の肉体とは最後のお別れです。
花の体の周りにお花を添えてあげたり、お線香に火を灯したり、撫でてあげたり、送り出す儀式を行いました。
謎にちぎれた耳の先端や、面白い形のしっぽを触ることができるのもこれが最後。
もう十分にお別れの挨拶はしていたつもりですが、いざ焼却炉の中に送り出すとなると、「まだもうちょっと・・・」という気持ちが湧いてきて、なかなか送り出すことができませんでした。
花が焼かれている時間は、花へのメッセージを家族全員で書いて過ごしました。
1時間経たないうちに花は綺麗な骨となりました。
病院猫シアの火葬の時もそうだったのですが、
不思議とそれまで涙が溢れて止まらないほどの寂しさがあっても、骨となって現れると、自分の心の中の哀しみも天に登っていくような、『しっかり送り出してあげられたな。』という、ほっとした感覚になります。
火葬場のスタッフさんも心からのお見送りをしてくださるお陰かもしれません。
全ての事が済む頃には、長かった日も暮れ始めていました。
帰り道、車の中から見える空は燃える炎のような綺麗な紅い色をしていて、最後まで力強く生きていた花を思い起こさせるような景色が広がっていました。
思えば、最後の数日間は、どんなに雨が降っていても、花を外に出してあげようかな?と表に出ると不思議と空が晴れ渡ってくる日々でした。
きっと花は天に歓迎される子だったのでしょう。
その日の夜は花を囲ってみんなで食事をしました。
せっかく花のためにお供えをした水やご飯は、残された2匹の猫たちがせっせと食べており(自分達のご飯があるのに!)、『なんでそうなるんだよ・・』と突っ込みどころの満載な、いつもと変わらぬ日常が続く気配に、少しの涙と笑いが誘われる夜となりました。