スタッフブログ

2023.10.01

無口な脾臓

ようやく肌寒さが感じられる朝晩となってきましたね!

それでも今年の秋冬はまだまだ暑い日が続くとか・・・しばらくは暑さへの対策等に注意が必要です。(今日は涼しいかな?という時が油断しがちで危険です。閉め切った車内でのお留守番等はまだまだ控えるようにしましょう!)

 

さて、今日から10月。春の健康診断から半年ほど過ぎたということで秋の健康診断キャンペーンが行われます。

当院では人間よりも早く歳をとる動物たちには年に2回の健康診断を!とおすすめしています。

春先に健康診断を行ったばかりで、そんなに年2回も必要ないんじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、何気に毎年この秋の健康診断を利用して、思いがけず早期に病気を発見されている例が少なくないのです。

傾向として、春にお配りしたエコー検査無料クーポン(しっかりコースほどほどコースの方にお配りしています。)を、「症状は何もなく元気だけど、せっかくだから使おうかな・・」とご使用されて、臓器に怪しい影を見つける・・という流れが多いため、血液検査と同時にエコー検査を受けることをおすすめします。

症状が全くなくても100%健康とは言えないのはもちろん、血液検査の結果だけでも全身100%健康だと過信してはいけないということが秋の健康診断で痛感する機会がよくあります。

当院では春の健康診断の予約特典として膀胱のエコー検査を無料で行っておりましたので、秋に無料券を使用していただければエコー検査も年2回無料で行えるように組まれています。

具合が悪くなってから受診して→病気が発見されて→手術・・では、麻酔をかけての処置も状態の良い時に比べてだいぶ負担がかかりますし、回復にも時間がかかってしまいます。

少しでも体が元気なうちに病気を発見して治療することで早期回復に繋げることができます。

 

「沈黙の臓器」といって、病気が進行してからでないと症状が表れにくい臓器には、肝臓・腎臓・脾臓などがありますが、今回ご紹介するのは脾臓です。

沈黙の臓器の中でも特に症状がわかりづらく血液検査上でも異常を検知しにくい臓器が脾臓で、普段は血液の貯蔵や造血、抗体の産生などの免疫に関わっている臓器です。膀胱など、他の臓器の検査ついでに院長にチェックしてもらったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?コチラから常に疑って病気を探しに行かないと病気の存在に気づきにくいのが脾臓という臓器なのです。

 

 

この先に臓器の写真が続きますので、苦手な方はご注意ください。

コチラ↑はつい先日手術で摘出した脾臓でした。春にもエコーはしていて異常なく、この半年の間にできていた腫瘍のようです。

 

これが、症状が出るくらいまで進行してしまうとこのような状態になってしまいます。

さらに進行すると、この腫瘍が大きくなり過ぎて脾臓が破裂し、お腹の中で大出血を起こしてしまいます。

脾臓の腫瘍は、進行により腫瘍が巨大化してくるため、これにより胃が圧迫され食欲低下の症状が出たり、貧血の症状が出てくるのですが、血液検査で異常値として現れるのはだいぶ進行してからが多いです。

高齢の子の場合、何かと「歳だからかな?」で様子を見てしまい、進行後しばらく経ってからようやく病気に気づくことも多いので気をつけなければなりません。

 

脾臓の腫瘍は決して珍しい病気ではなく、今回アップしたもの以外にも多くあります。(データを探し出せたのが取り急ぎ4枚でした。)

そのほとんどがほぼ無症状。血液検査上も異常という異常が出ていないものでした。

今回の記事では沈黙の臓器として脾臓をとりあげてみましたが、このほかにも病気が進行しないと気づきにくい肝臓・腎臓、歳をとってくると異常が出てくる内分泌、病気という位置付けではないかもしれませんが、高齢の子でありがちな関節炎(猫ちゃんの場合ほぼ100%関節炎もちと言われています。)は、早めに対処することで寿命QOL(生活の質:Quality Of Life)の向上に繋がりますので、この機会にお気軽にご相談いただければと思います。