猫のよくある病気
ネコちゃんの病気は種類が多いのが特徴です。「元気がない」「いつもと違う」などのちょっとした違和感が病気のサインであることも多いので、速やかに受診するようにしましょう。早期発見・早期治療で、ネコちゃんの身体の負担をできる限り抑えましょう。
鼻と口の病気と症状
鼻と口のよくある症状
- くしゃみや鼻水が出ている
- 鼻血が出ている
- 口の中に出血がある
- 歯ぐきが腫れている
- よだれが多い
- 口内炎がある
鼻と口の病気
- 猫風邪
- クリプトコッカス症
- 気管支炎
- 結膜炎
- 肺炎
- 鼻炎、副鼻腔炎
- 歯周病
- 尿毒症
- 腎不全
- 口内炎
- エイズなどの感染症
など
当院の治療法
猫風邪はくしゃみや鼻水が出るのが特徴で、ワクチン接種を行うことで発症率を抑えることができます。ネコちゃんの口内炎は完治しにくく、カリシウィルスや猫エイズ・猫白血病が原因で発症していたり、口腔内の環境が悪くなることで発症したりする場合もあります。 歯周病は進行具合に合わせて、口腔内の洗浄や消毒、抗生物質や抗炎症剤、免疫賦活剤などの投与、歯石や歯垢の除去、全身麻酔での抜歯などを行います。
目の病気と症状
目のよくある症状
- 目やにが出ている
- 目が白く濁っている
- 涙を流している
- 目が赤くなっている
- 光をまぶしがる
- 近くのものが見えていないなど視力低下が疑われる行動がみられる
- 目を痛がっている
- 目が見えにくそうで動作がぎこちない
- 目をこすっている
- まばたきの回数が多い
目の病気
- 結膜炎、角膜炎
- 気管支炎
- 白内障、緑内障
- 眼瞼内反症
- 鼻炎
- 流涙症
など
当院の治療法
ネコちゃんの白内障は、人やワンちゃんに比べると少ないものの、先天性と後天性のものがあります。ペルシャ、ヒマラヤンなどは先天性白内障にかかりやすく、後天性白内障は、原因として外傷や栄養不良、糖尿病などの代謝性疾患が考えられます。初期段階であれば、点眼薬などで治すことが可能ですが、ひどくなると手術が必要になります。
また、子猫はヘルペスウィルスやクラミジア感染に伴う結膜炎や鼻炎を発症することが多いですが、これらはワクチン接種で予防できます。発症してしまった場合は、点眼薬や内科療法で治療します。なお、ネコちゃんは腎不全や甲状腺機能亢進症が原因で、全身性の高血圧から網膜剥離を引き起こして失明する可能性があるため、目の異常がみられたら早めに診察を受けることが大切です。
皮膚の病気と症状
皮膚のよくある症状
- 毛が抜けている
- 皮膚が荒れ、湿疹や腫れがある
- しこりがある
- 皮膚や粘膜が黄色っぽい
- 毛艶が良くない
- 皮膚が薄くなっている
- リンパ節が腫れている
- 体をかゆがっている
- 肉球が腫れている
- フケが多い
- かさぶたができている
皮膚の病気
- 細菌
- 皮膚糸状菌(カビ)
- アレルギー、アトピー
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 疥癬
- 糖尿病
- 脂肪肝
- 肝炎
- 伝染性腹膜炎
など
当院の治療法
多頭飼いをしている場合には、ノミ・マダニや耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の集団感染の可能性が高くなるので、1匹のみならず全頭で治療を進めていきます。予防としては、清潔な飼育環境を保つことが大切です。かゆみがなく円形に脱毛している場合は皮膚糸状菌(カビ)が疑われ、抗真菌剤の飲み薬・外用薬で治療します。
伝染症腹膜炎は一旦発症すると完治が難しく、一時的に症状を和らげるインターフェロンなどを用いた内科療法を行います。また、生活環境を整えてストレスを軽減し、健康管理に注意してワクチン接種を欠かさないことも重要です。
消化器系の病気と症状
消化器系のよくある症状
- 嘔吐や下痢がみられる
- おしっこの量が増えた(減った)
- 食欲が増えた(減った)
- よく肛門をなめている
- 外陰部から出血している
- 体重が減った
- 血尿が出ている
- 水をたくさん飲んでいる
- 便秘になった
- 外陰部からおりものが出ている
- お尻をかゆがっている
消化器系の病気
- 糖尿病
- トキソプラズマ症
- すい炎、食道炎
- 子宮がん、子宮蓄膿症
- リンパ腫
- 横隔膜ヘルニア
- 尿毒症
- 毛玉症
- 腎不全
- 食道拡張症
- 甲状腺機能亢進症
- 脂肪肝
- 回虫症
など
当院の治療法
回虫症は駆虫薬で駆除しますが、下痢などの症状が伴う場合は、必要に応じて食事の切り替えやサプリメントの処方を行います。消化器系の病気を予防するためには、定期的に便の検査を行い、飼育環境を清潔にすることがポイントです。
泌尿器系の病気と症状
泌尿器系のよくある症状
- トイレの回数や尿の量が増えた
- 排尿の姿勢はとるものの、尿が出にくい
- トイレ以外で粗相をするようになった
- トイレにキラキラ光る結晶のようなものがみられる
- ピンクや赤、白く濁った尿がみられる
- 尿の色が薄い
- 尿のニオイが少ない
- 排尿時に大きな声を出す
- 水をたくさん飲むようになった
- 嘔吐、食欲不振がみられる
泌尿器系の病気
- 膀胱炎
- 尿石症
- 慢性腎不全
など
当院の治療法
泌尿器系で代表的な病気は、膀胱炎や尿石症などの猫下部尿路疾患と慢性腎不全です。膀胱炎や尿石症は若い猫でもかかりますが、慢性腎不全は老猫の多くが予備軍といわれ、高齢猫がかかりやすいのが特徴です。水を飲む量が増えたり、尿に異常がみられたら、早めに当院までご相談ください。
膀胱炎や尿石症の予防には、適切な食事管理、十分な水分補給、清潔なトイレ、適度な運動で肥満を防止することが有効です。また、慢性腎不全の予防には、定期的な尿検査や血液検査が効果的です。検査結果に合わせて塩分・たんぱく質をコントロールし、新鮮な水を与え、定期的なワクチン接種を欠かさないようにしましょう。一度失われてしまった腎機能を回復するのは難しいですが、進行を抑えて症状を緩和することは可能です。
その他の病気と症状
その他のよくある症状
- 足を引きずっている
- 脱水を起こしている
- 関節が腫れている
- 体温が下がっている
- 発育不良
- 歩き方に違和感がある
- お腹が腫れている
- 乳腺が張っている
- 貧血を起こしている
その他の病気
- 糖尿病
- すい炎、食道炎
- 腎不全
- 巨大結腸症
- 脂肪肝
- 胃腸炎
- 腸閉塞
- アミロイドーシス
- 骨折、脱臼
- 外耳炎
- クリプトコッカス症
- 中毒
など
当院の治療法
骨折している場合には、患部を固定して安静にします。また、歩き方の異常は外耳炎などの耳の病気が原因となっている場合もあります。細菌や真菌が原因であれば、抗生物質や投真菌薬を与えます。