予防接種
予防接種は、ワンちゃんの命にかかわる多くの感染症を防止します。他のワンちゃんと触れ合うことがなくても、お散歩中や外出先でうつることもあるので必ず接種しましょう。
飼い主様の中には「室内で飼っているから、何度も予防接種をする必要はないのでは?」「3年に1回程度で十分なのでは?」という方もいらっしゃいます。しかし、予防接種をしなければ、ワンちゃんが病気にかかりやすくなるだけでなく、感染した場合に重症化したり、一緒に生活しているご家族にまでうつってしまう可能性が出てくるのです。特に、ご家族にお年寄りや小さなお子様などの抵抗力が弱い方がいる場合は注意が必要です。
また、最近は地震や洪水などの自然災害が各地で起こっています。大規模な災害が発生すると、伝染病などが流行しやすくなります。その結果、予防接種をしていなければワンちゃん自身が感染病にかかるリスクが上がり、さらにはワンちゃんから人に対する感染リスクも出てくるため、避難所へ一緒に避難することさえ拒否されてしまう可能性があります。
予防接種は、ワンちゃんの病気の予防だけでなく、周りの人々への感染リスクを減らす意味もあります。「うちの子は大丈夫」と思わず、きちんと受けるようにしましょう。
フィラリア検査
フィラリア症は、蚊に刺された際にフィラリアの子虫がワンちゃんの体内に入っていくことで感染します。フィラリアの子虫はワンちゃんの体内で成長しながら血管を巡り心臓まで達し、やがて15~25㎝程度の成虫になります。
発症すると、食欲低下、せきや腹水(お腹が膨れる)、貧血、失神などがみられます。放置すると命にかかわりますので、薬での予防を徹底し、気になる症状がある場合は速やかに受診しましょう。
月1回のお薬でフィラリア症を予防
フィラリア症のお薬にはお肉タイプ、錠剤タイプなどがあり、月1回の投与で予防効果があります。いずれも蚊の発生時期に合わせて投与しますが、投与開始前には血液検査で感染の有無を調べます。併せて健康診断として血液検査を行うことも可能です。
予防のタイミング
フィラリア症のお薬は、蚊の発生から1ヵ月後~蚊がいなくなってから1ヵ月後(6月下旬~11月下旬頃)まで投与します。ただし、その年の天候や温度差によって多少時期がズレますので、投与をご希望の際にはお早めにご相談ください。
また、フィラリア症のお薬には、お腹の虫に効く成分が入っているタイプや、ノミダニ予防の成分も入ったタイプもありますので、お散歩が好きな場合はこのタイプのお薬を継続的に飲むのもおすすめです。
ノミ・マダニ予防
ノミ・マダニはお散歩で立ち寄る草むらや野山、ドッグランなどでうつることが多いです。また、室内で飼育している場合でも、ご家族の方が外出先からノミ・マダニを持ち帰ってしまい、暖かい室内で繁殖してワンちゃんやネコちゃんにくっついてしまうこともあります。毎日掃除を欠かさなくとも、ノミ・マダニ繁殖の可能性はありますので、お薬で予防することが重要です。
「お外遊びが好き」「季節の変わり目でなくとも、よく毛が抜ける」「湿疹が治らない」「胸元やお腹に小さな黒い粒のようなものがみられる」「頻繫に体をかいたり噛んだりする」のいずれかに当てはまる場合はノミ・マダニがくっついている可能性がありますので、速やかに受診してください。
人にも出ているマダニ被害
最近、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気に感染したワンちゃんやネコちゃんから、人への感染が疑われるケースが増えています。SFTSは、ウイルスを保有しているマダニに刺されることで感染し、発熱や食欲低下、嘔吐や下痢、腹痛などが出現します。感染を防ぐためにはマダニに刺されないようにすることが重要なので、お薬でしっかり予防してあげましょう。
ノミ・マダニの予防薬
ノミやマダニ予防のお薬は、ワンちゃん用(おやつタイプ・身体にたらすスポットタイプ)とネコちゃん用(身体にたらすスポットタイプ)があります。また、フィラリア予防とお腹の虫下しも同時にできるオールインワンタイプもあります。スポットタイプはシャンプーをした日から間を空けることをお勧めします。
お薬の購入を希望される場合、ワンちゃんやネコちゃんの体重がわかれば、お薬のみのお渡しも可能です。もし購入後にお薬を食べない、アレルギー反応が出たなどの場合は予防薬の種類を変えることもできますので、何かありましたらご連絡ください。
歯科検診
近年、乳歯などが残っていたことで歯の嚙み合わせが悪い(不正咬合)ワンちゃんが増えています。不正咬合は、見た目には何の問題もなさそうな場合がほとんどですが、口をきちんと閉じることができない、あごが曲がってしまう、歯石がつきやすくなるなどのデメリットがあります。
当院では、子犬の時期から乳歯や永久歯の生え方を定期的にチェックし、必要に応じて乳歯の抜歯や歯科矯正治療を行っています。歯科矯正治療は6カ月齢くらいまでに行う必要があるため、4、5、6カ月齢(乳歯永久歯の交換期)でのチェックが大切です。
また、日帰りでの歯石除去(スケーリング)も行っております。その他、歯みがき指導などのメインテナンスも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
ワンニャンドック(健康診断)
ワンちゃんやネコちゃんの1年は、人間の約4年分です。人間よりも早いスピードで年齢を重ねていくため、子犬・子猫の時期から半年に1回は健康診断を受けましょう。
健康診断は、体重測定や爪切りのついでに行うことも可能ですので、お気軽にお申し付けください。
人間と同じく、ワンちゃんやネコちゃんも加齢とともに病気にかかりやすくなり、中には飼い主様が気づきにくいような症状もあります。定期的な健康診断を通して、病気を早期発見することで効果的に治療ができたり、進行を遅らせることもできます。
健康診断のメニューには、血液検査、エコー検査、血圧検査、レントゲン検査、便・尿検査、眼底検査などがあり、年齢や状態に合わせて選びます。6、7歳を過ぎたら、病気の早期発見のために血液検査やエコー検査を追加するのがおすすめです。